アントワーヌ プレジウソ

1957年ジュネーブに生まれたアントワーヌ・プレジウソは、スーパーコンプリケーションウォッチの製作において、その類稀なる才能と高い技術により「20世紀最後のキャビノチェ」と称される独立時計師です。時計ケース職人であった父の影響で幼少の頃より時計に慣れ親しみ、7歳の時には置き時計の分解・組み立てをこなしました。14歳でスイス国内の最も権威ある時計学校に入学し、5年間学んだ後に首席で卒業します。
その後、有名時計ブランドや世界的なオークション会社で、歴史的名品の修復、フィニッシングの方法を学び、1981年に独立して、自らのアトリエを構えました。そして、メーカーやコレクターからの依頼を受け、アンティークの修理を行いながら、1986年に初めて自分の名をブランド名に掲げた作品「シエナ」を発表しました。以来、一貫した創造性の追求を目指し、大手メーカー、グループに属することなく着実に実績を重ねてきました。1995年からは独立時計師で構成されている組織「独立時計師アカデミー」（AHCI）に籍を置いています。独立時計師は、部品を一つ一つ削り出し、たった一人で時計を完成させることがほとんどですが、それでは数多くの作品を手がけることはできません。彼はこれに対し、チーム制で作品に取り組むというスタイルで、量産も可能な体制を築き上げています。また、昨今では、彼の才能を受け継いだ息子のフローリアンと共同で研究、開発したコレクションも精力的に発表しています。
全モデルの開発からデザイン、製作に長い時間を費やしているオリジナリティ溢れる彼の作品は、製品ではなく芸術品としてとらえた方が良いのかもしれません。大手メーカーでは成し得ない、イマジネーションから生み出される独創的で芸術性の高いアントワーヌ・プレジウソの時計は、多くの時計愛好家達を魅了し続けています。